エゾタヌキの食性
























エゾタヌキの胃内容物による食性

 日本では、津軽海峡(ブラキストン線)を境に、本州以南(南西諸島は除く)にホンドタヌキ、北海道にエゾタヌキの2亜種が生息しています。本州では、身近な野生動物と言えばタヌキが一般的であり、ホンドタヌキの食性の文献は非常に多いのですが、ほとんど目にする機会のない北海道のエゾタヌキの文献はほとんどありません。
 そこで、交通事故(ロードキル)の死体を集め(64個体)、胃内容物からエゾタヌキの食性を調べてみました(羽馬,未発表、帯広畜産大学大学院・修士論文の一部)。
 若干の情報ですが、写真のようなもの(一部ですが)が出てきました。結果として言えることは、エゾはホンドより肉食傾向が強いということです。これは、ロシアの北方のタヌキの食性文献からもそういったデータが報告されており、北方のタヌキほど肉食傾向が強く、南方のタヌキほど昆虫食・果実食傾向が強いようです。これは、頭骨の形態にも形からその違いが読み取れるという結果になっています(羽馬,帯広畜産大学・修士論文)。
 交通事故や有害駆除の遺体から集められる情報は、たくさんあります。でも、動物の死体となると、なかなか一般の方には、理解されにくい面があり、交通事故や農家などの有害駆除、海獣であればストランディングで浜に打ちあがり死亡した遺体などを自治体ではそのほとんどが破棄されてしまっています。貴重な遺体を科学の貢献に残せるような、社会になってほしいと願います。

                                                    文:羽馬 千恵